身体の動きとその周りの空気の動きとの関係を表現したいと思っています。

 

絵画そのものは静止したものですが、残像や瞬間のビジョンを描くことによって、

想像した動きからメッセージが感じられるように制作しています。

I want to express the relationship between the movement of the body and the movement of the air around it.

The paintings themselves are static, but by depicting afterimages and momentary vision, I create works that convey messages through imaginary movement.

 

私は「体の記憶」を頼りにして描きます。それは私が10歳からダンスを習ってきていて、踊るということと、絵を描くことが共存し続けてきたからだと思います。絵の中の身体と自分の身体がシンクロする感覚で描きます。モデルを「見て」描くだけはない、自分の身体の「実感」を使います。

つまり私にとって絵画は身体表現なのです。

I draw by relying on the memory of the body. I think it's because I've been learning dance since I was 10 years old, and dance and painting have coexisted. I draw with the feeling that my body is in sync with the body in the picture. I don't just "see" the model, I use the "feeling" of my body. In other words, for me, painting is a physical expression.

 

 

 

 

 

Freedom (2022)

 

高架下の柱が作り出す奥行や、コンクリートの無機質な感じ、高速道路の下にできてしまった、この虚無的で無視された空間に惹かれている。女は裸足で飛び、ハイヒールを手にしている。これは束縛から自由を手にした瞬間を表現した作品。

 

走る (2021)

第65回新北海道美術協会展 記念賞受賞 

コロナ禍で抑圧された気持ちを、走るという動きで解放を表現しました。

スピード線   2016年―

現代の抑圧を意図した。

外圧によって、空中に放り出された不安定な人たち。

そこにレイヤーとして漫画的手法の「スピード線」を重ねる。

 

 

 

RED BODY  2015-2016年

赤の濃淡グレージングで描いたシリーズ。

しなやかでありながら、力強い彼女の身体はわたしのモチーフであり、モチベーションとなった。

この作品は光線が身体を通過する様子を表現したもの。身体と通過する線のイメージはのちの効果線につながれていく。

TUITATE  2012年

ついたては絵を壁から自立させたい、という思いから生まれたインスタレーション作品。身体はダンスの振付のようにフロアーに配置される。

そしてついたての裏側には、雑木林を描き、北海道に自生する熊笹を活けた。人間と自然、安易な対比かもしれないがこの年、北海道に移住して実感したこと。

あえて雑木林をデジタル化し、セザンヌになぞらえて斜めのタッチで描く。対比として人間は絵具の垂らしこみでアナログ的に描いた。副題の「アナログカラダとデジタルセザンヌ」はそこからくる。

ついたてシリーズは、永桶宏樹とのユニット「故郷Ⅱセカンド」にて制作し続けている。

 

Water  2008年

動きを形のないもので捉えたい時に、私は抽象的な水を描く。

 

 

Blue on Body  2005―2006年

垂らしこんだ絵具の痕をそのままに、動きの一瞬をとらえた身体のフォルム。それをブルーの大気が侵食する。

身体が先か。空間が先か、そこには動きが存在する。

同シリーズを30点ほど壁にランダムに配置したり、天井から吊り下げて展示した。高低さや間隔を自由に、踊るように。

 

DANCE  2000―2008年

ダンスを描いた作品。踊っているのは自分自身であったり、心に焼きついたダンサーの瞬間の動きを描く。

 

 

WALK  1997―1999年

高架下の奥行きのある構造に惹かれる。そこにただ歩く人影がある。

ブレや残像で今にも建築物に吸い込まれてしまいそうな身体。

螺旋階段、その造形に見惚れる。階段を降りる人影は時間を刻む。

人の形のあやふやさに比べ、建造物の不動さは時間の流れ方が違う。